07th Expansion Wiki
Advertisement
Under construction.png

This page contains large amounts of Japanese text with missing or incomplete translations.

Celebration: Rose Guns Days Season 2 (祝 ローステシーズン2 Iwai Rōsute Shīzun 2) is a short story released as a booklet at the second 07th Masquerade event on October 22, 2017. It is a crossover between Umineko When They Cry and Rose Guns Days.

Transcript

Dashed lines represent page breaks.

    祝
ローステシーズン2

07th Expansion


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【リチャード】「諸君、喜びたまえ。ローズガンズデイズ、シーズン
2の舞台化が決定した」
【ローズ】「わぁぁ! すごいねすごいねっ、おめでとう!」
【メリル】「まぁ、私たち、がんばっちゃったものねっ。当然の結果か
しら!」
【ウェイン】「いやいや、ローズさんの素晴らしい演技があったからこ
そですっ」
【レオ】「お前の演技だって、素晴らしかったぜ」
【ステラ】「そうよそうよ、名演技だったわよ? くすくすくす」


【ウェイン】「あ、あ、あれは演出上の都合でやっただけだッ、俺は決
してノリノリでやったわけじゃッ、」
【サイラス】「ガッハッハ! ウケてたからいいじゃねぇか。それに、
お前さんもシーズン2からは、ワイルドドッグのボスじゃねぇか」
【レオ】「出世だな。俺なんか出征だぜ?」
【ローズ】「レオ君は、ラストシーズンになるまで帰ってこないんだね
……」
【リチャード】「ラストシーズンまで舞台化されるか否か、その鍵は我
々が握っているね」
【サイラス】「そうさ! また、最高の舞台を作り上げて、次なるシー
ズン3の舞台化へと繋げていきたいねぇ!」
【ウェイン】「レオがいなくても盛り上がることを、俺が証明してやる
ぜっ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 お陰様を持ちまして、進戯団 夢命クラシックス様によるローズガンズ
デイズ、シーズン1の舞台化は大成功! シーズン2の舞台化が決定し
た。
 登場人物一同、大喜びだ。となれば、早くも舞台に向けて、稽古に勤
しみたいもの。
 今日は、シーズン2舞台登場人物の初顔合わせの日なのだ。


【ローズ】「そっか! シーズン2になると、新しい登場人物たちも、
たくさん登場するよね!」
【リチャード】「うむ。紹介しよう。ラプンツェルこと、ツェル君だ」
【ツェル】「先輩方、初めまして。がんばりますのでよろしくお願いし
ますっ。ほらっ、みんなもご挨拶してっ」
【オリバー】「オ、オリバーだ、……です。よ、よろしく……」
【チャールズ】「あー、コイツ今頃になって緊張してるよっ。昨日まで
は、顔合わせ如きで緊張などするか馬鹿、とか言ってたクセに!」
【ニーナ】「オリバー坊やは、自分の感情に素直になれんやて、しゃあ
んないんて!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【チャールズ】「最近、気付いたんだけどさぁ。ツェルが頭撫でようと
する時、オリバーってちょっと屈んで頭、低くしてるよな?」
【ニーナ】「そこがツェルのすごいとこなんね。あの猛獣オリバーを、
よくもあそこまで躾けたもんやんね」
【オリバー】「うるさい、だッ黙れ馬鹿……!!!」


【梅九】「やぁやぁ、皆さん、お揃いアルネ! チャイナタウン組も忘
れてもらっちゃ困るアルヨ~!」
【王】「話には聞いてたけど、美人さんが多いね~。こんな舞台ならボ
ク、張り切っちゃいそうだよ~! なっははははっはっ!」
【若君】「小蘭、我々の出番はかなり後ろのようだね……。月餅でも食
べながら本読みでもしていようか」
【小蘭】「………………」(もしゃもしゃ)
【リチャード】「ようこそ、チャイナタウンの皆さん。今回は抗争相手
になりますな」
【梅九】「ふふふ、お手柔らかにお願いするアル」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【バトラー】「おっとおっと、米軍サイドも忘れてもらっちゃ困るぜぇ
? にっひっひっひ!」
【ローズ】「大尉! またお会い出来て光栄ですっ」
【バトラー】「このフィリップ・バトラー、麗しいお嬢さんとローズ
ちゃんがいるところなら、どこにでも参上するぜ。キラーン」



 他にも他にも、懐かしきシーズン2の登場人物たちが勢揃い!
 皆はローステシーズン2の成功を誓い合ってから、いよいよ稽古に入
るのだった。




【ウェイン】「んん? 俺の台本だとセリフ、違ってるぞ?」
【リチャード】「そんなはずはないのだが。全員の台本を新しいものに
変えたはずだ」
【サイラス】「いや、本当にウェインの台本だとそうなってるぜ? こ
いつは古い方だぞ?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【オリバー】「危ない! ……大丈夫か、ツェル!」
【ツェル】「あ、ありがとう、オリバー。……あいたたた……」
【ニーナ】「ちょおちょおッ! 大道具担当、誰やんね! オリバーが
庇わなかったら今頃、ツェルは大怪我ねんて?!」
【チャールズ】「オリバー、いつまで覆いかぶさってんだよ。ツェル、
重そうだよ」
【オリバー】「う、う、うるせぇ、黙れ馬鹿っ」

【王】「んぶッ?! ……ゲホゲホゲホ!! う、梅ちゃん、このお茶、
味が変じゃない?!」
【梅九】「……ん? こんなところに下剤の空瓶が」
【王】「んんんんぅうぅぅぅぅ!! トト、トイレ……! 時よ止まれ
ッ。今のボクなら、1秒を百万で買ってもいいッ!! んああぁあああ
あぁぁあぁぁああぁ…………、………………あッ?!?!」
【バトラー】「このトイレ、朝から故障中みたいだぜ? 一番近いトイ
レは、ここを出てまっすぐ行って、曲がって戻って登って降りて、」


【王】「んんんノォオオオオオオォぉおおおおお
ぉおおおッ!!!!(@w@;)!!!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ローズ】「きゃああ……!!」
【レオ】「どうした! 大丈夫かっ」
【ローズ】「わ、私の舞台衣装が、こ、こんなになって……」
【レオ】「ズタズタだな。どうやら、俺の裁縫の腕を見たいヤツがいる
らしい。任せとけ。直すついでにスカートの丈も20cmくらい短くし
ておいてやるぜ」

【メリル】「ローズ、大変よ、大変よ! 何だか嫌な臭いがするの! 
異臭騒ぎってヤツかしら?!」
【ステラ】「あぁ、その件は忘れてあげて。ちょっと王さんに、一身上
の悲劇が……」
【サイラス】「……こりゃあ、ちょいとおかしいぜ? 臭うな」
【ステラ】「だから、その件は金龍会との友好の為にも気にしないであ
げてくれる?」


【リチャード】「ステラ。どうも様子がおかしいのだよ」
【レオ】「同感だな。どうも、俺たちを妨害したいヤツらがいるようだ」
【ローズ】「確かに……、おかしなことが立て続けに起き過ぎるよね…
…」
【バトラー】「俺たちの舞台の成功に嫉妬して、他の劇団のスパイが妨
害活動を、ってか?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【梅九】「いや、それはありえないアルネ」
【ツェル】「はい。部外者の犯行は、ありえません。皆さんも、よくご
存知のはずです」

 ツェルは、首に掛けている関係者パスを掲げた。それは、ここにいる
全員が持つものだ。
 この稽古場には、関係者以外、一切の出入りは出来ない。

 近年、感情を拗れさせた一部のファンの暴挙が、役者や歌手、アイド
ルを脅かす事件が少なくない。
 その為、この稽古場は高度なセキュリティシステムで守られていた。

【ツェル】「カードは偽造不可。その上、入室時には併せて網膜パター
ンによる認証まであります。つまり、この稽古場に部外者が入ることは
不可能。……それが意味することは即ち、」

 ――私たちのお芝居を妨害しようという人物は、内部犯である、とい
うことっ。

 その時、グッドです、という少女の声と共に、手を叩く音が聞こえて
きた……。

【レオ】「……これはこれは、初めましてお嬢さん。……俺ももうろく
したな。こんな可愛い登場人物がシーズン2にいたのに気付かなかった
なんてな?」
【???】「ご安心を。あなたのもうろくなどではありません。私はロ
ーズガンズデイズの登場人物ではありませんので」
【レオ】「お名前を聞いてもいいかい?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「古戸ヱリカ。……名探偵です」

 ボリュームあるツインテールは自信の証。コルセットスカートは揺る
がぬ真相への追及の意思を示すっ。
 事件あるところ探偵あり、探偵あるところ事件ありっ。
 呼ばれなくても、むしろ事件が私に呼ばれてこい!

名探偵、古戸ヱリカ、ここに見参!!

【ヱリカ】「ツェルさん。状況のシンプルな説明、実にグッドでした。
そこからはこの私が引き継ぎましょう」
【ウェイン】「ちょっと待てちょっと待てっ。部外者は絶対に入れない
稽古場に、どうしてこんな部外者がいるんだ?! それに探偵など、誰
も呼んでねぇぞ!」
【リチャード】「私が呼んだのだ。……といっても、つい数秒前に、ス
マホで注文したばかりだがね」
【レオ】「迅速な出前だな。アマゾンもビックリだ」


【ローズ】「……えっと、………つまりこれは、……あなたが今、ここ
にいることそのものが、この稽古場のセキュリティが意味を為していな
い証拠だということですか……?」
【梅九】「……そうなるアルネ。彼女はパスを持っているようには見え
ないアル」
【バトラー】「つまり、ここのご自慢のセキュリティにはどこか盲点が
あるってことさ。偽造不可能やら、網膜認証やら、その程度のことで密
室など作れはしないってことだぜ。……な?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「うふふふ。……さすがは戦人ァさん。お見事です。この世
に、密室も魔法も存在しませんので」

【オリバー】「じゃあやっぱり……、俺たちの舞台を妨害しようと、外
から誰かが……」
【チャールズ】「俺たちに舞台をやられて困るようなライバルって言う
と……、劇団四季とか? あー、刀剣ラブラブの連中かもしれねぇよ!」
【ニーナ】「アホは知ってる単語、適当に並べんと黙っちょんねな……」
【王】「でも、どうやってセキュリティを破ったんだい? 偽造不能、
それに網膜認証。鉄壁じゃないかい!」

 シャワーを浴びてきたらしい。王からボディソープのフローラルな匂
いが香る。

【梅九】「兄者の自慢のセキュリティも、あっさりと破られたアルネ。
破れないセキュリティはないアルヨ」
【レオ】「パスを持たない名探偵殿が現にここにいるんだ。それが、破
れたことの最大の証拠だろうぜ」
【ローズ】「ヱリカさんは、どうやってここに?」
【ヱリカ】「種明かしをすると、パスは持っています」
【リチャード】「ありえない。パスの発行枚数は管理されている。余っ
たパスは存在しないはずだ」
【ヱリカ】「いいえ。パスは無数に存在するんです。この稽古場は、ワ
ンタイムパスを導入していますから」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 昭和の時代には、ホテルなどのルームキーは「鍵」であった。
 しかしこれでは合鍵を作ることも可能で、泥棒たちに大いに利用され
たこともある。
 その為、平成に入ってからは、宿泊期間中にしか使えない「使い捨て
のカードキー」に変わったのだ。


【ステラ】「……確かに、ワンタイムパスという意味でなら、無数に発
行されていると言えなくもないわ」
【メリル】「でも、使い捨て式なんだから、私たち以前の利用者がパス
を使っても、私たちの稽古場には入れないじゃない」
【ウェイン】「…………話が難しくて、何を言ってるのかわからねぇ」
【サイラス】「お互い、馬鹿がバレるから黙ってようぜ……。俺はお茶
でも淹れてくる……」

【ヱリカ】「やれやれ。これだけの人数が揃って、まだわかりませんと
は。……でも、あなたは違いますよね? 戦人ァさん?」
【バトラー】「…………まさか、………いや、そんなはずは………」
【ヱリカ】「そんなはずが、あるのです。お忘れですか? 我が主は、
可能でなるならば必ず実現させる絶対の魔女。故に私も、可能であるな
らばどのような推理もトリックも実現できる、名探偵なのです。ではど
うぞ。久しぶりにアレで」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【バトラー】「青で宣言するッ! お前が持っているパスは、この稽古
場の過去の利用者のものだ!」 ←(注:鉤括弧内青字)
【ヱリカ】「赤で反論します! 過去のパスでは、この度の稽古場には
入れません」 ←(注:鉤括弧内赤字)
【バトラー】「青で反論だッ! そうさ、この度の稽古場には入れない
! だが、その時の稽古場には入れたはずだ! つまりッ、真相はこう
だ!!」 ←(注:鉤括弧内青字)


――古戸ヱリカは、この稽古場の前回の利用者として、
その時にこの稽古場へ入場した!
 そしてそのまま今日まで、退場していなかった!


【ヱリカ】「グッド。一部大筋は合っているので合格点と致しましょう。
厳密には、前回の利用者ではありません。かなり前の、半年近く前の利
用者ですが」

【リチャード】「……ちょ、ちょっと待ちたまえ。では君は、半年間も、
この稽古場にいたというのかね……」
【ヱリカ】「この稽古場は大変設備の整った立派な施設です。いくつも
の控室にシャワー室。その上、舞台関係者の差し入れで食べ物はいつも
有り余っています。適当に挨拶しておけば、スタッフの誰かだろうと誰
も気にしませんし。十分、快適に過ごさせていただきました」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【レオ】「あんた……、ここに、住んでたってのかい……」
【ローズ】「あ、あの、聞いていいですか? どうして、ずっとここに
……?」

【ヱリカ】「古戸ヱリカは探偵です。探偵あるところ事件あり。私の所
在は関係ないのです。現にこうして今、この場に私の存在価値のある事
件が起こっている。故に、私がどこに住もうと仕事に差し支えはない訳
です」
【バトラー】「相変わらずだな……。何れにせよこれで、妨害工作の数
々は、内部犯の犯行とは限らないってことになった訳だ」
【ヱリカ】「ところが戦人ァさん。それが違うんです。今回の舞台稽古
妨害事件。犯人は内部犯に限られるんです」
【オリバー】「どうしてそんなことが断言できるんだ?! 現にあんた
がここにいることが、外部の人間にも犯行は可能なことの証じゃねぇか
!」

【ツェル】「待って、オリバー! 違うの。これはむしろ逆に、彼女だ
から言えることなの」
【梅九】「……道理アルネ。ヱリカ嬢は、この稽古場に半年間住み続け
ていた、即ち番人も同然」
【王】「だからこそ、ここには他に誰も潜んでいないと断言できるって
ワケかい……!」(フワ♪)
【ニーナ】「……めっちゃフローラルやんね」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「私には探偵権限があります。よって、この稽古場に、私の
目を欺いて潜むことは不可能なのです。よって、私という例外を除き、
外部からの侵入者、あるいは潜伏者は一切いないと赤で宣言できます。
……そして、探偵権限により私が犯人であることを禁じられている以上、
……この事件の犯人は、皆さんの中にいるッ」

 ヱリカの捜査によって、まずは、今回の事件が、紛れもなく事件であ
ることが確認された。
 偶然の事故が重なって事件と誤解したのではない。全て何者かが明白
な意図を以て仕組んだ妨害工作なのだ。

【ヱリカ】「今回は、ベアトリーチェさんのゲーム番ではありませんの
で、赤と青のロジックゲームで解決する訳にはいきません。素直に原点
に戻り、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットの角度から詰め
ていきたいと思います」

 こうして、ヱリカによる捜査が始まった。その結果、早々にハウダニ
ットの線は失われた。
 稽古場は大勢が出入りしている。皆、自分の稽古に没頭している。ど
こに誰がいようと、特に不審には思わない。
 つまり、誰にでも犯行は可能ということだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「それでも、自由に犯行がし放題という訳ではないはずです。
いくつかの犯行、例えばローズさんのロッカー内の衣装が切り裂かれた
件とか。ローズさんのロッカーを、ローズさん以外の人物が開けていた
ら、怪しまれない訳もありません。その上さらに、衣装を切り裂き始め
る訳ですから」
【バトラー】「誰の目もない時になら可能なはずだぜ?」
【ヱリカ】「そういうことです。となれば古典的に。事件の発生時刻の
アリバイが、モノを言うことになる訳です。皆さん、申し訳ありません
が、これより個々に聞き取りを行ないます! 私の聞いた時刻に、どこ
で何をしていて、それを誰が証明できるかを教えて下さいっ」

 全員への聞き取りの結果、……全員にアリバイがあることがわかった。
 全員が犯行時に犯行不可能な場所にいたことを、異なる誰かが証言で
きたのだ。

【ローズ】「つまり、誰にも犯行は不可能ということですよね?」
【レオ】「いや。……考えたくはないが、それでも可能だ」
【リチャード】「うむ。アリバイを証言した者も含めて、……共犯なら
ば」
【ステラ】「何てこと……。……犯人はひとりじゃなくて、複数いるっ
てことなの?!」
【梅九】「こうなると、……フーダニットの線も難しくなってくるアル
ネ」
【王】「となると、いよいよ最後。ホワイダニットの線になるねぇ……」
(フワ♪)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【バトラー】「決めつけることは出来ねぇが、……アリバイを証言でき
る人物が少ないヤツが、怪しいってことになるよな?」
【ヱリカ】「確かに。例えば、犯行時刻に舞台上にいた人たちは、実に
10人近くが相互確認を行なっています。彼らが全て共犯である確率は
低いでしょう。これだけの人数が舞台を妨害しようと企むならば、いっ
そのこと、全員でボイコットした方が早いですから」


 舞台の世界では、様々な理由で降板が起こり得る。
 その為、急場のピンチヒッターなど、ダメージを最小限に抑えるネッ
トワークはある程度、存在している。
 つまり、1~2人程度の降板ならフォローは不可能ではない。
 しかし、10人近くが降板したら、流石にフォローは不可能。舞台は
吹き飛ぶ。


【ヱリカ】「それが出来ないのは、犯人が少人数であるからです。戦人
ァさんの言う通り、アリバイを証言できる人数が少ないグループが怪し
いということになります」
【オリバー】「一番、少ない人数のグループは2人組。……お前だな、
チャールズ」
【チャールズ】「オ、オイラはウェインの兄貴と一緒に肉まん食ってた
だけだよッ、ホントだよぉ!」
【ウェイン】「あぁ、間違いねぇ。……それに、この俺がローズさんの
舞台を邪魔しようと考えてたなんて疑いやがるんなら、マジで容赦しね
ぇぞ……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「ですよね。忠犬ウェインが、マダム・ローズの舞台に穴を
開けることを望むとは到底思えません。ホワイダニットの線から、除外
できるでしょう」

【バトラー】「サイラスとモーリスも、2人組だな?」
【モーリス】「おいおい、よしてくれ。俺たちは大人しく煙草を吸って
ただけだぜ?」
【サイラス】「俺もウェインと同じだぜ? 親友のリチャードの舞台な
んだ。穴を開けようなんて企む訳がねぇだろ」
【ヱリカ】「それについても同感です。ウェインさんもサイラスさんも、
いわゆるプリマヴェーラ組。ラストシーズンまで出番も見せ場も豊富で
す。ウェインさんが憧れるローズさん、サイラスさんが支えるリチャー
ドさんも然りです。ホワイダニットの線からは、この2組を除外して問
題ないでしょう」

【ローズ】「そんな言い方をしたら、誰だって重要な役です。穴を開け
たい人がいるなんて思えない!」
【メリル】「……ローズに同じだわ。私たちの中に、妨害をしたい人が
いちゃうなんて、考えられない。考えたくもない……」
【ステラ】「でも、犯人はいるのよ。それが事実だわ」
【ローズ】「考えられない! ここにいる人はみんな、今回のシーズン
2だけじゃなく! 今回を大成功させて、シーズン3、ラストシーズン
へと繋げていこうという意思をみんな持って頑張ってる! この中に、
今回で終わりにさせてしまおうなんてことを考えている人がいるなんて、
私、考えたくない、考えられない……!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――グッド。それです。


【ローズ】「……え?」
【ヱリカ】「ありがとうございます、ローズさん。……その言葉で、犯
人がわかりました」
【王】「ボ、ボクに下剤を飲ませた犯人がわかったというのかい?!」
(フワ♪)
【ヱリカ】「今ならわかります。どうして下剤だったのか」

 そもそも、今回の舞台を破壊するつもりなら、下剤などという甘いも
のを使いはしません。
 一撃でコロリの、毒物を使えばよかったはずです。
 思い返せば、これまでの妨害工作の数々も、妨害と呼ぶにはあまりに
チープです。

 古い台本が混じっていた? そんなの、すぐに気付いて新しい台本に
変えれば済む話です。
 ナイフでローズさんの衣装を切り裂いた? それならばローズさん本
人を襲った方が確実です。
 もし、私が登場せず、犯人の妨害が本番直前、あるいは本番当日まで
続いたとしても、せいぜいがこの程度。
 ある程度の混乱は生じるでしょうが、上演にまでは漕ぎ着ける。その
程度の妨害だったということです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「この時点で、犯人の目的は、シーズン2の舞台の破壊では
ないことがわかります。犯人は、シーズン2が上演されることは問題な
かったのです。しかし、大成功には終わらせたくなかった。なぜか? 
その理由はただ1つ」

 ――シーズン3舞台化を、なくす為。

【ヱリカ】「シーズン2の舞台化は、先日のシーズン1の成功があった
からこそです。となれば、シーズン3舞台化の大前提は今回のシーズン
2の舞台の成功、ということになります」

 様々な妨害によって稽古不足や混乱が生じ、それによってシーズン2
の舞台は失敗。シーズン3舞台化はお流れ。
 残念だったけれど、シーズン2までを良い思い出にして解散しよう…
…。
 それこそが、犯人の目論見!

【ヱリカ】「犯人は、シーズン3の公演だけは何とか阻止したかったの
です。それどころか、シーズン3の稽古場にさえ入りたくなかった。だ
から、シーズン3の座組みさえまだの今の時点で妨害に及んだのです。
……いや、主犯格にとっては、本当は妨害なんて生温いことではなく、
本気で破壊したかったでしょう。しかし、大勢の人間が出入りする今回
のロケーションでは、犯行の為には虚偽のアリバイを提供してくれる共
犯者が不可欠。その共犯者の為には、シーズン3はともかく、シーズン
2については上演を許す必要があった……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ――そういうことですよね? 戦人ァさん?

【ヱリカ】「いえ。フィリップ・バトラー大尉。あなたが犯人です」
【バトラー】「ばッ、……馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿しい……!! ど、どうし
て俺が?! 第一、俺のアリバイは、」
【ヱリカ】「ジェームズ・富竹さんと、オリバー・織部さんのお二人が
アリバイを証明している、んですよね? しかし、このお二人を加えた
戦人ァさんたち三人には共通点があります。それは、シーズン3以降、
辛い展開が約束されていることです」

【ジェームズ】「つ、辛い展開って……。まぁ、確かに僕はマフィアら
しい顛末のキャラクターだけれど、それを全うするのも名脇役の仕事だ
と思ってるよ……」
【ヱリカ】「ジェームズ・富竹さんは『ひぐらし』に出られていた時は
、必ず死ぬという役の担当で、時報時報と呼ばれからかわれたことを今
でも、」

【ジェームズ】「その話はやめてくれッ……!!!」

【ヱリカ】「……………………。……と、いうことです。ジェームズさ
んは本心では、自分の担当キャラが死ぬというシーンを、心の底から嫌
っていたのです」
【オリバー】「お、……俺は狼だ。死なんか恐れてないぞ……っ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「オリバーさん。あなたも、富竹さん同様に、宿命から逃れ
られないキャラクターです。ですが、その宿命を描いたシーズンが上演
されなかったなら? あなたの中では、オリバーは永遠にワンダリング
ドッグの一員で、帰ってきたツェルを迎え、仲良し四人組に戻り、ある
いは、ちょっと特別な関係の二人組にステップアップするかも……、な
んて甘い妄想を、」

【オリバー】「うるせぇ、黙れッ……!!!」
【ヱリカ】「真犯人は、この2人を共犯に加え、三人組を結成しました。
これだけいれば、アリバイ工作には十分でしょう。本来ならば、妨害な
どという甘いものではなく、粉々に吹き飛ばし、上演当日を迎えられな
いほどの破壊工作をすればいいはずでした。……しかし故に、共犯に迎
えたオリバーさんの都合を無視できず、ささやかな妨害工作に留める必
要が出来たのです」

【ツェル】「……オ、オリバー……?」
【オリバー】「お、……俺は、ツェルと一緒の舞台に上がりたかった!
今回の舞台を大成功させたいと、最初は思っていたんだ!! でも、で
もッ、バトラー大尉が……、今回の舞台を失敗に終わらせれば、俺とツ
ェルはいつまでも、いつまでもワンダリングドッグで一緒にいられると
いう猫箱もありえると言って……、お、俺は、……ぅぉおおぉおおおお
おおおおお……!!」
【ツェル】「……オリバー……。何て馬鹿……、……馬鹿だよ君は……
……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ヱリカ】「戦人ァさん。これ以上を探偵の口から言わせるのは無粋で
はありませんか? ホラ。スポットライトはもう、あなたに当たってい
るんですよ?」
【ローズ】「……た、大尉……。どうして、妨害なんてことを………」
【バトラー】「そ、それは………ッ、…………ッッ、」

 その時、薄暗い観客席で、じっと話を聞いていた人影が、ゆらりと足
を組み直す。

【ガブリエル】「……わからないよ、フィル。……どうして君は、シー
ズン2に失敗して欲しかったんだろう?」
【バトラー】「ガ、ガブッ、…………………、」
【ヱリカ】「彼のパスは、つい先ほど私が申請しました。名推理を語る
傍らで、スマホで事務所にメールを送って」
【ニーナ】「……めっちゃ器用なやっちゃ……」

【ガブリエル】「ねぇ、フィル。シーズン2が成功してくれなければ、
シーズン3の舞台化がなくなってしまう。そうしたら、このガブリエル
・鏑谷の登場がなくなってしまうじゃあないか……。フィルとの共演、
……すごく楽しみにしていたのになぁ。……どうして、そういうことを
するんだろう……?」
【バトラー】「こッ、これは少佐殿……、こッ、こけッ、こけこっこ…
…ッ、」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ガブリエル】「名探偵ヱリカ嬢、素晴らしい推理だったよ。君の謎解
きは、耳に心地よい、まるで天国の小鳥の囀りだね。……さぁ、みんな。
安心して稽古を再開して欲しい。この後は、如何なる妨害も起こらない
とこのガブリエル・鏑谷が約束するよ。私の登場するシーズン3の為に、
どうかぜひ頑張って欲しい」
【ヱリカ】「ハイ、皆さん、聞こえましたね? 練習再開です。パンパ
ン!」

 皆、半分わかったようなわからないような顔で、とりあえずは納得し、
それぞれに稽古を再開する。
 ……ひとりを除いて。
 お腹の調子がまた悪くなった王がトイレへ急ぐと、そのトイレもいつ
の間にか「清掃中」になっていたという……。


【王】「んんんノォオオオオオオォぉおおおおお
おおおおおおおおぉおおおッ!!!!(@w@;)
(ブワワ♪)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





                          <おしまい>


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


祝! ローステ シーズン2
発行:07th Expanson
発行者:竜騎士07/07th Expansion
発行日:2017年10月22日 07th MASQUERADE
印刷所:イロドリ様

twitter:@07th_official
https://07th-expansion.net/

External Links

Advertisement